ブログを始めるときによく言われるのが、「まず記事を書こう」という話だ。
テーマやデザイン、細かい機能を最初から完璧にしようとせず、まずは書く。
ある程度記事が揃ってから、必要なものを少しずつ足していく。
WordPressを仕事で使ってきた自分としても、この考え方にはかなり納得している。
クライアントサイトでも、管理画面や細かな機能を先に作り込みすぎると、肝心の本文や画像の準備が後回しになることがある。
個人ブログなら、なおさらだと思う。
……と分かっていたのに、先にブログの仕組みをがっつり作り込んでしまった。
記事はNotion、公開画面はNext.js、ホスティングはVercel。
今「SOLO WEB WORKS」と呼んでいるこのブログである。
が、しかし……公開できる記事はほとんどなかった。
この記事は、そんなブログ立ち上げを振り返る記事であり、このブログで最初に公開する記事でもある。
本当は最初に記事を書けばよかった
今振り返ると、最初はもっとシンプルでよかった。
- 書きたい話を数本、メモ程度でもいいので書く
- 公開できそうになったら、最低限のブログを用意する
- 実際に書きながら、足りない機能だけ追加する
おそらく、これで十分だった。
理由は単純で、ブログの中心はやはり記事だからだ。
テーマやデザインをどれだけ整えても、記事がなければ読むものがない。
逆に記事があれば、どれだけ変な見た目でもブログとしては成立する。
仕事では自分も似たようなことを言っている。
「まずコンテンツを用意しましょう」
「画像が揃ってから細かいレイアウトを決めましょう」
ところが、自分のブログになると少し事情が変わった。
忘れていたというより、書く前に「書くための場所」を作りたくなった、というほうが近い。
先にブログの仕組みを作りたくなった理由
理由はいくつかある。
一つ目は、記事を書く場所をNotionにしたかったことだ。
仕事のメモや個人的な記録も普段からNotionに置いている。
そこで書いた記事が、そのままブログとして公開できるならかなり楽だと思った。
「ブログを書くために別の管理画面を開く」という作業をなくしたかった。
二つ目は、Next.jsとAIコーディングを、自分のサイトで試してみたかったこと。
本業ではWordPressの構築や運用に触れることが多い。
もちろんWordPressでブログを作れば、もっと早く公開できたと思う。
ただ、個人サイトだからこそ、普段の仕事とは違う構成を試してみたかった。
Next.js × Notionで実際にどこまで運用できるのか。
AIにかなり実装を任せた場合、どこで人間の判断が必要になるのか。
そういったことを自分のサイトで試したかった。
そして三つ目。
これが一番大きかったかもしれない。
記事を書くより、仕組みを作るほうが手を動かしやすかった。
コードは進捗が分かりやすい。
機能が動く。
テストが通る。
画面が完成する。
一つずつ「できた」が増えていく。
一方で記事は、公開した瞬間に自分の考えが外に出る。
「これで公開していいのか」と考え始めると、なかなか終わらない。
特にこのブログでは、できるだけ薄い記事は出したくないと思っている。
そのぶん、書くことのハードルを自分で少し上げていた部分もある。
仕事なら、環境を整えること自体にも価値がある。
ただ、個人ブログの場合、環境だけを整えても記事が増えるわけではない。
分かってはいたものの、気づけば仕組みのほうに手が伸びていた。
開発中に増えていった機能
最初に考えていた機能は、かなり少なかった。
- Notionの記事DBから公開記事を取得する
- 記事一覧と詳細ページを表示する
- Vercelにデプロイする
本来はこのくらいでも始められたと思う。
ところが、「ちゃんと公開できるブログにしよう」と考え始めると、少しずつ機能が増えていった。
| 増えたもの | 増やした理由 | 今振り返ると |
|---|---|---|
Draft / Editing / Published | 下書きを公開しないため | これは必要だった |
| 画像をVercel Blobへミラー | Notionの一時URL対策 | これも必要だった |
| 公開スナップショットと履歴 | 更新失敗時に戻せるようにする | あると安心 |
| 問い合わせフォーム | ブログとして用意したかった | もう少し後でもよかった |
| 目次・共有・読書進捗 | 読みやすくしたかった | 記事が増えてからでもよかった |
| SEO用メタ・JSON-LD・sitemap | 公開するなら必要だと思った | 最低限なら先にあってよかった |
こうして見ると、必要だったものと、後回しでも問題なかったものが混ざっている。
AIに相談しながら開発していると、この境界が少し曖昧になりやすい。
「これもあると便利ですね」
と言われると、たしかに便利そうに見える。
しかもAIコーディングなら実装もかなり速い。
以前なら「そこまで作るのは大変だから後でいい」と判断していた機能も、短時間で作れそうになる。
その結果、追加するハードルが下がった。
特に後回しでもよかったと思うのは、まだ読者がほとんどいない段階での細かな体験改善だ。
目次も読書進捗も、記事があって初めて役に立つ。
記事が少ない状態でそこを作り込んでも、実際には自分がデザインを眺めている時間のほうが長い。
一方で、公開ステータスや画像の永続化は先に作っておいてよかったと思っている。
下書きが誤って公開されたり、あとから画像が消えたりするのは避けたかった。
全部が不要だったわけではなく、どこで一度開発を止めるかを決めておけばよかったのだと思う。
記事がないのに、ブログの形だけはできていた
仕組みが整ってきた頃には、サイトとしてはそれなりに見られる状態になっていた。
ホームがある。
記事一覧がある。
運営者情報もある。
プライバシーポリシーも、お問い合わせフォームもある。
GitHubにはREADMEがあり、Notionとの同期方法も残している。
見た目だけなら、ブログはかなり完成していた。
ただ、中身はほぼ空だった。
Notionの記事DBには下書きが増えていた。
タイトルだけ決めたもの。
見出しまで作ったもの。
途中まで書いて止まっているもの。
それでもStatusはほとんどDraftのままで、実際に公開されている記事はほとんどない。
外から見ると「ブログを作った」状態でも、自分としては「ブログを書くためのツールを作った」状態に近かった。
そこで一つ気づいた。
「完成」の基準を、開発側に置きすぎていた。
コードのテストが通る。
レイアウトが崩れない。
Webhookが動く。
デプロイが成功する。
もちろん、それらも大切だ。
ただ、それは「ブログシステムの開発が終わった」という話であって、「ブログを始められた」という話ではない。
ブログの場合、やはり記事を公開して初めてスタートなのだと思う。
仕事なら、この違いには比較的気づきやすい。
公開日もあるし、お客さまもいる。
個人ブログの場合は、自分で期限を決めなければならない。
「もう少し整えてから」と思えば、いくらでも先に延ばせてしまう。
それでも、先に作ったことに意味はあった
では、先に仕組みを作った時間が全部無駄だったかというと、そうは思っていない。
むしろ、作ったからこそ書けるようになった話もかなりある。
例えば、
- Notionの画像URLをそのまま公開しない構成にしたこと
- 公開状態を
DraftとPublishedだけではなく、Editingも含めて管理したこと - 問い合わせ内容をメール送信せず、非公開のNotion DBに保存するようにしたこと
- AIに実装を任せながら、人間が判断した部分がどこに残ったのか
こういった話は、実際に作ってみたからこそ書ける。
このブログでは、自分で試したことや判断したことをできるだけ記事にしたいと思っている。
そう考えると、今回の開発そのものが記事のネタになったのはよかった。
ただ、これは結果的にそうなったという面もある。
もう少し早い段階で記事を書き始めていても、同じような内容は書けたはずだ。
そのほうが、細かなデザイン調整や、まだ使われていない機能の追加に使う時間は少なく済んだと思う。
今回の反省点を一つ挙げるなら、「ここまでできたら、いったん書く」という区切りを決めていなかったことだ。
「公開ステータスが動いたら記事を書く」
「画像が消えない仕組みができたら記事を書く」
最初にそこまで決めていれば、先に仕組みを作ること自体は特に問題なかったと思う。
実際には、そのあとも「ここも少し直したい」が続いてしまった。
これからは、まず書く
ということで、今後の優先順位はかなりシンプルにしたい。
- 書く
- 公開する
- 公開してから、足りないものを直す
新しい機能を追加するときも、いったん次のどれかに当てはまるかを考える。
- 今の記事が正しく表示できない
- 書くための作業を明らかに減らせる
- 読者が迷う原因になっている
これらに当てはまらなければ、急いで作らなくてもいい。
例えば、画像のファイル名を一枚ずつきれいに整えたり、注目記事の表示方法を細かく調整したりすることは、今は優先しない。
このブログでは画像をVercel Blobへ保存しているため、元のファイル名がそのまま公開URLに出るわけでもない。
スクリーンショットならまず貼る。
必要ならキャプションを書く。
そのくらいで進めてみる。
もちろん、記事の内容まで雑にするつもりはない。
公式情報をまとめただけの記事ではなく、
- 自分で試したこと
- うまくいかなかったこと
- あえてやらなかったこと
- 最終的にどう判断したか
といった部分は残したい。
ただ、それを理由にいつまでも公開しないのも違う。
ある程度まとまったら、まず出してみる。
この記事も、その一本目にしたい。
まとめ
「ブログを作るなら、まず記事を書いたほうがいい」という考え方は、今でもそのとおりだと思っている。
それでも私が先に仕組みを作ったのは、記事を書くよりも環境を整えるほうが手を動かしやすかったからだ。
結果として、ブログの仕組みはかなり整った一方で、公開記事はなかなか増えなかった。
とはいえ、先に作ったものがすべて不要だったわけでもない。
公開ステータスや画像の扱いなど、運用するうえで最初に決めておいてよかった部分もある。
もう少し早い段階で「ここまでできたら一度記事を書く」と区切れていれば、ちょうどよかったのだと思う。
これからは、まず書く。
そして実際に使ってみて、不便になったところを直す。
ブログは仕組みを完成させることより、記事を積み重ねていくことのほうが大事だ。
せっかく書くための場所はできたので、今度は中身を増やしていきたい。